適用期限が迫る「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」

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1 はじめに

中小企業者等が対象となる「商業・サービス業・農林水産業活性化税制(以下、活性化税制)」をご存じでしょうか。これは、商業・サービス業者等向け財務サポートのひとつで、対象となる法人や個人事業主が、2019年3月31日までに経営改善設備を取得した場合に受けられる税制です。

そこで今回は、適用期限の迫る設備投資支援制度についてご紹介します。

2 活性化税制とは

活性化税制の概要を見ていきましょう。本税制は、「商業・サービス業等を営む、青色申告書を提出する中小企業者等」が、2019年3月31日までに経営改善設備を取得した場合、「取得価額の30%特別償却」または「7%税額控除」を受けることができる支援制度です。
ただし、資本金または出資金の額が3,000万円を超える、中小企業等協同組合等を除く法人の場合は、税額控除の適用を受けることはできません。


●対象となる中小企業者等とは?

ここからは、税制の対象者や対象設備などについて、より詳しく見ていきましょう。「中小企業者等」という表現がわかりにくいですが、活性化税制の対象となるのは、次の条件に該当する個人事業主または法人ということになります。


<活性化税制の対象となる中小企業者等>

  • 常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人事業主
  • 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1,000人以下の法人
  • 中小企業等協同組合、出資組合である商工組合、商店街振興組合

ただし、上記にあてはまる場合でも、税制の対象外となるケースもあります。詳しくは、以下の中小企業庁のウェブサイトや、本税制のパンフレットからご確認ください。

 

出典:中小企業庁HP「商業・サービス業の設備投資を応援します(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)」
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/150401zeisei.htm

 

●対象業種は?

本税制の対象業種は、次のとおりです。対象業種であるか否かは、「日本標準産業分類」に基づいて判定されています。


<活性化税制の対象業種>

卸売業、小売業、情報通信業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、こん包業、損害保険代理業、不動産業、物品賃貸業、専門サービス業、広告業、技術サービス業、宿泊業、飲食店業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、社会保険・社会福祉・介護事業、サービス業(教育・学習支援業、映画業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他の事業サービス業)、農業、林業、漁業、水産養殖業


●対象設備は?

本税制の対象設備は、「認定経営革新等支援機関等から経営の改善に役立つ資産として、経営改善に関する指導および助言を受けた旨を明らかにする書類に記載された設備」となります。また、次のいずれかの条件にあてはまる必要があります。

(1) 減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一の建物附属に記載されている設備(機械および装置以外で、事務所用、飲食店用、店舗用、工場用などの設備)で、1台の取得価額が60万円以上の物のうち、経営改善のために取得する設備
(2) 器具および備品で、1台または1基の取得価額が30万円以上の物のうち、経営改善のために取得する設備

中古品や貸し出し用の設備は、原則として対象外となります。

対象設備の詳細についても、以下の中小企業庁のウェブサイトや、本税制のパンフレットから確認することができます。
出典:中小企業庁HP「商業・サービス業の設備投資を応援します(商業・サービス業・農林水産業活性化税制)」
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/150401zeisei.htm

 

●税額控除(取得価額の7%)の限度額は?

活性化税制では、「取得価額の30%特別償却」または「7%税額控除」を選べます。
しかし、税額控除の限度額は「事業年度の税額の20%相当」となっていますので、すでにほかの案件で税額控除が20%に達している場合、「7%税額控除」を選んでも、税額を控除することはできません。ただし、今回の7%税額控除を適用できない場合でも、1年間の繰越し控除が可能です。

3 適用手続きについて

適用手続きに必要な書類について、法人の場合と、個人事業主と法人で共通する点を見ていきましょう。

まず、法人の場合、特別償却適用手続きには、法人税の確定申告書に「特別償却の付表」と「適用額明細書」を添付します。また、税額控除の場合は、法人税の確定申告書に「特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」または「特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」と「適用額明細書」を添付します。

次に、個人事業主・法人共通で必要なものとしては、アドバイス機関から指導や助言を受けたことを示す、下記のような書類となります。

  • 中小企業者等の氏名または名称
  • 取得設備の明細
  • アドバイス機関の氏名または名称、所在地、指導や助言を受けた年月日、指導や助言の内容

アドバイス機関からの指導や助言は、設備導入前に受ける必要がありますが、書類の交付は設備導入後であっても問題ありません。

4 おわりに

ご紹介した活性化税制は、今年の3月末までが適用期限となっています。
対象企業にあてはまり、新たな設備の取得を検討していたという場合は、本税制の対象となる設備を直近で取得するかどうか、今一度確認してみてはいかがでしょうか。

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