神奈川県における外国人労働者の現状と雇う際に注意するべき点は?

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1 はじめに

近年、外国人を雇用する企業が増えています。外国人労働者の雇用は、文化や言語、慣習などの違いによって、注意しなければならないことがあります。
ここでは、全国に加えて神奈川県における外国人労働者の現状を紹介しつつ、外国人の雇用において想定されるトラブルや求められる対応などについて見ていきましょう。

 

2 国内における外国人労働者の現状

まずは、国内における外国人労働者の現状を見ていきましょう。

 

●増加し続ける外国人労働者

厚生労働省の資料「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、2017年10月末の時点で、外国人労働者数は127万8,670人います。これは、前年同期比で19万4,901人(18.0%)の増加で、過去最高の労働者数を更新しました。
国籍別に見てみると、最も多いのは中国人で37万2,263人(全体の29.1%)、次いでベトナム人で24万259人(全体の18.8%)、フィリピン人が14万6,798人(全体の11.5%)、ブラジル人が11万7,299人(全体の9.2%)となっています。

外国人労働者増加の背景には、日本政府が推進している高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいることや、雇用情勢の改善によって「永住者」や「日本人の配偶者」等の身分に基づく在留資格の方々の就労が増えたこと、技能実習制度が活用されていることなどが挙げられます。なお、高度外国人材とは、「高度学術研究分野」「高度専門・技術分野」「高度経営・管理分野」において、優秀な能力や資質を持つ外国人の研究者や大学の教授、システムエンジニア、会社の経営者などが対象となっています。

※出典:厚生労働省HP「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(平成29年10月末現在)」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/1496p75g.pdf

●外国人労働者の多い産業は?

厚生労働省の資料「『外国人雇用状況』の届出状況」によると、日本で働く外国人労働者数の30.2%が製造業で働いています。また、外国人労働者を雇用する事業所のうち、22.2%が製造業となっています。
ほかにも、建設業およびサービス業で、外国人労働者が多く働いています。

※出典:厚生労働省HP「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(平成29年10月末現在)」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/1496p75g.pdf

3 神奈川県内における外国人労働者の現状

ここからは、神奈川県における外国人および外国人労働者の状況について見ていきましょう。


●神奈川県における外国人数の傾向

神奈川県内において、外国人居住者数は増加傾向にあります。県内における外国人居住者の比率を見てみると、2017年は2.2%となっており、過去10年間で最も高くなっています。
また、神奈川県における出身地別の外国人数を見てみると、中国人が最も多い32.8%を占め、次いで韓国人が13.9%、フィリピン人が10.6%、ベトナム人が8.1%となっています。

※出典:神奈川県 県内外国人統計「2017年度主要国籍(出身地)別外国人数の割合」
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/k2w/cnt/f4695/documents/917116.pdf


●神奈川県における外国人労働者数・事業所数

神奈川県の外国人労働者数および外国人労働者を雇用する事業所数は、東京都、愛知県、大阪府に次いで4番目に多くなっています。
なお、2017年10月末時点の、神奈川県で働く外国人労働者数は69,400人で、日本全体の外国人労働者数の5.4%にあたります。また、外国人労働者を雇用する神奈川県の事業所数は12,602ヵ所で、日本全体の6.5%となっています。
※出典:厚生労働省HP「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(平成29年10月末現在)」
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11655000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu-Gaikokujinkoyoutaisakuka/1496p75g.pdf

4 外国人アルバイトを雇用する際に想定されるトラブルと求められる対応

外国人アルバイトを雇用する際は、どのようなトラブルを想定し、対応すべきなのでしょうか。


●想定される外国人アルバイトに必要な対応

外国人アルバイトを雇用する場合、一般的には次のような事態が想定されます。

  • 日本語で書かれたマニュアルが読めない
  • 敬語が使えない
  • 日本人スタッフとのコミュニケーションが難しい、他のスタッフとなじめない

採用を検討する時点で、「応募者がどの程度日本語を身に付けているのか」「他のスタッフとのコミュニケーションは問題なさそうか」といったことに配慮することで、採用後のトラブル回避につながります。
また、外国人アルバイト向けのマニュアルを用意したり、外国人アルバイトがなじみやすい職場環境を整えたりするといった対応も求められるでしょう。

日本人の慣習では想定しにくいケースも

外国人労働者の出身国によっては、習慣や文化的な違いが存在することもあります。

  • 飲食店で外国人アルバイトに手洗いを徹底してもらうことに苦労した
  • 宗教上ひげを剃ることができない

上記のような、日本人の慣習では想定しにくい外国人アルバイト特有の注意点があることを踏まえた上で、慎重に雇用を進めていく必要があるでしょう。

5 おわりに

外国人労働者の雇用を検討するのであれば、外国人を雇用する上で起こりうる事態を把握し、その対応を考える必要があります。
出入国管理法の施行に向け、多様な人材が能力を発揮できる職場環境を整えながら、外国人労働者の採用を進めていくことが大切といえるでしょう。

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